関東から関西へ戻ってきて以来、抱えていた小さな渇望。
うどん文化が根強い関西では、蕎麦はどうしても脇役になりがち。最近は街に本格的な店が増えてきたとはいえ、麺の香り、コシ、喉ごし、そしてつゆのキレまで総合して「これだ」と思える一杯にはなかなか巡り会えないんですよね。
そんな自分の蕎麦観を根底から覆したのが、いつもいただく手打ち蕎麦。
「趣味で打っている」と言うものの、麺連のしっかりした資格まで取得されてるようで筋金入りです。初めて口にした日の衝撃は今でも忘れられません。まさに「口の中に蕎麦の空間がふわっと広がる」感覚。柔らかすぎず硬すぎず、香りと風味がいちばん活きる絶妙な細さで打たれており、一口ですすり上げた瞬間にハッとするほどの充足感。

この蕎麦をいただくときは、自分なりのルーティーンで。
まずは何もつけず、数本をそのまま手繰る。麺そのものが持つ清々しい香りとほのかな甘みをダイレクトに味わう。
次は、パラリと塩を少しだけ振って数本。輪郭がキュッと引き締まり、蕎麦の甘みがさらに鮮明に。
そして最後、いよいよ手作りのつゆにくぐらせて、ずるずるっと勢いよく啜る。あー、うまい蕎麦だなーと。
この3ステップをやってる最中が、”食べる”幸福度が瞬間風速で跳ね上がるんですよね。たまらなく贅沢な時間だなーと。
添えられた手作りのめんつゆも、完全にプロの領域。その日の蕎麦に合わせて出汁を変えているようで、今回はかつお出汁が二重三重と押し寄せる、少し甘め仕立て。見た目も味にも濁りがいっさいなく澄み切ったつゆは、細打ちの麺の風味を少しも邪魔せず見事に引き立ててくれます。最後はもちろん、濃厚な蕎麦湯で割って一滴残さず飲み干すところまで。
いやー、今日の一杯もたいへんおいしゅうございました!
といったように、幸運ながら美味しい蕎麦にありつけているわけだけども、みなさん、日頃の店の蕎麦から一歩飛び出して、街の片隅でひっそりと暖簾を掲げる手打ち蕎麦の店へ足を伸ばしてみるのもよろしいかと。
職人が手間暇を惜しまず、手仕事で丁寧に仕上げた、ひと口で心を奪われるような本物の蕎麦に出会うことは食べる幸せの一つになるんじゃないか、と。
ごちそうさまでした!!!!!
(2026/09/23)





