【随想】「手紙」で知る飛鳥Ⅲ――便りが誘うアナログな贅沢さ


郵便料金の値上げもあってか、手紙やはがき(主に年賀状)をポストに投函する機会がめっきり減ってしまいました。メールやチャットでメッセージが一瞬で届く現代、ポストに入っているものといえば、チラシや通知書くらいになった気がします。
そんなご時世ひときわ目を引くシックな風合いの封筒が届きました。

差出人は、豪華客船「飛鳥Ⅲ」に乗船した親戚の子になってますね。

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洋上の風を運んできた、特別な一通

封を開けると便箋には「今度一緒に海を見に行きましょう」という、あたたかく真っ直ぐな言葉が。ありがたいですね。無邪気さにも救われます(どんだけ?)

船からの海といえば、これまで目にしたのはフェリーの甲板からの高さくらいなので、何十メートルもある豪華客船の最上階の高さから見下ろす大海原は、また違った見え方なのかもしれないなーと。遮るもののない水平線に、ゆっくりと沈んでいく夕焼けのグラデーション。
旅先からの便りを受け取っただけで、遠い海へと思いとイメージが馳せちゃいます。


レターセットから伝わる「飛鳥Ⅲ」のグレード

おたよりを読んだ嬉しさの余韻にひたりながら、文房具好きとしては視線は、そのレターセットの作りに目がいきます。

重厚感のある封筒の裏面ですが、優美な船体のシルエットの箔と封蝋。そして中の便箋を取り出してみれば、繊細な銀の箔押しがヘッダ部分に。箔は微細なラインの一本一本まで潰れておらず、上品な光沢をかえします。まだ見ぬ客船のスケール感とクラシカルな品格が、たった一式のレターセットのディテールから美しくそして細かに伝わってきます。


映画の世界のような本物の封蝋

中でも特に驚いたのが、封緘に使われていたシーリングワックス(封蝋)ですね。

最初はおしゃれなシールかと思ったんだけど、同行した母によると実際にロウを溶かしてスタンプを押し封を閉じてくれたらしいです。映画やアニメのワンシーンでしか見たことがない本物の封蝋がここにあるってのはなかなかオツなものですね。確かに、わずかな焼きムラやマーブルがかった厚みに、手作業ならではのぬくもりを感じます。


大人のロマンはAmazonへ……

封蝋のよさにすっかりあてられ、その後はAmazonで「封蝋セット」一式を検索しちゃいました。

スプーン、専用の蝋、スタンプ……。案外手頃な価格で手に入ることがわかり、もう少しでカートのボタンを押しそうに。けど、「いや待てよ、普段そんなに手紙を書かんやん」と、自制心でなんとかブレーキ(苦笑)

それでもあのクラシカルさは捨てがたい。たとえば記念品のワインや焼酎にカスタムラベルを仕立てたボトルに、アクセントとしてこの蝋印を添えてみるとかね――そんなささやかな妄想を楽しみながらページを遷移させましたとさ(でもウィッシュリストには追加した(笑))

効率やスピードばかりが重要視される今だからこそ、あえて時間と手間をかけて、ロウを溶かし想いを封ずるアナログなアプローチには贅沢さが深くあらわれるように思います。
上質なレターセットと封蝋(スタンプシール)の凹凸にふれながら、こういうものは手元に残しておきたいなーと、海のイメージをめぐらせながら、静かに想った日でした。

感謝。

(2026/09/26)

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