西明石の駅前、まだ外がほんのりと夕暮れの色に差し掛かっている時間帯。 新快速が滑り込んでくるまでの刹那の時間、ふらりと立ち飲み屋の暖簾をくぐって日本酒を愉しみに。
テーブルの向かい側の壁には、一面にずらりと並ぶ地酒の短冊や瓶。 いろいろな名酒がひしめき合っていて、どれから喉を潤そうかと眺めているだけでも自然と口元が緩んでくるものです。
そんな賑やかなラインナップのなかで、ふと目に留まった銘柄が。 白地に力強い墨文字で書かれた「白鷹」。 その横に添えられた「伊勢神宮御料酒」の誇らしげな文字が、夕方のやわらかな店の雰囲気の中、どこか凛とした気配を放っていたわけでして。

迷わず注文し、手元に置かれたグラスへと注いでもらいます。
鼻を近づけても、最近流行りの華やかでフルーティーな香りが主張してくる感じではないですね。というわけで、ひと口、静かに口に含んでみます。
「……あぁ、これは……」と、思わず心の中で呟いた。
甘さに一切媚びない、硬派でキリッとしたドライな口当たり。 それでいて、その奥から米本来のしっかりとした旨味が力強く広がっていく。 まるで神社の境内で、巫女さんが静かに注いでくれるお神酒を口にしたときのような、背筋がすっと伸びるような清々しさと厳かさを感じます。。

世の中の流行りはあるもので、華やかで甘く飲みやすい酒が話題に鳴ることも多いけれど、この酒は昔ながらの伝統的な辛口のあり方を真っ直ぐに守り抜いてますね。 その頑固ともいえる姿勢に、確かな伝統の重みを感じるなーと。 こういうごまかしのない本気の味は、時代が変わってもずっと変わらずに維持してほしいものです。
喉を通り過ぎたあとに残る、潔い余韻をゆっくりと楽しみながら、「そういえば、もうずいぶんと伊勢には行っていないなあ」と。
西明石の気軽な立ち呑み地酒のテーブルにいながら、意識だけがふわりと遠く三重の神域へと飛んでいく。 玉砂利を踏みしめる音、巨木に囲まれた静寂な空気、そしてあの澄み渡る風。
「休みをとって、久しぶりにお伊勢参りにでも出かけてみようか」
グラスの酒をゆっくりと干しながら、そんな旅の計画を胸の中で転がす。そんな まだ宵の口にも届かない西明石の夕暮れ時を愉しみましたとさ。
(2026/08/17)






「【日本酒実飲】伊勢神宮御料酒「白鷹」流行りに媚びない骨太な味。@立ち呑み地酒(西明石)」への1件のフィードバック