【音楽】佐渡裕指揮のPAC新シーズンへ!若き熱量と映画『キセキの第九』(紹介)に若さをもらってきました。た日


週末、ふと思い立って西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターへ足を運んできました。

今日はは、マエストロ・佐渡裕さんが芸術監督を務める「PACオーケストラ(兵庫芸術文化センター管弦楽団)」の定期演奏会。

クラシックのコンサートというと、なんとなく「敷居が高そう」「正装していかないとダメなのかな……」なんて身構えてしまいがちだけど、ここ兵庫芸文のPACはまったくそんな気負いは不要でして。

普段の仕事や慌ただしい日常からすこしだけ離れて、純粋に「生のいい音を浴びてリフレッシュしたいなぁ」という休日の過ごし方には、実にうってつけなんですよね。

会場ホワイエに掲示されていた公演ポスター。21年目のシーズン開幕です
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初々しさと圧巻の音色。新シーズンの幕開け

今回の公演は、ちょうど新シーズンの1回目。

実はPACオーケストラって、オーディションで集まった若手演奏家たちが研鑽を積むアカデミーの側面も持ってて、そのため定期的にメンバーの卒業と加入があり、今回も約半数にあたる20名ほどが新しい顔ぶれに入れ替わったばかりとのこと。

そんな新体制一発目ということもあってか、序盤の音はどこか初々しく、少しばかり肩に力が入ったような「硬さ」も感じられたり。が、そのピンと張り詰めたフレッシュな空気感もまた、シーズン開幕ならではの醍醐味だなーと。

プログラムは近現代寄りの構成(ジョスタコーヴィッチ10番は日本初演?) 正直なところ、あまりクラシックの近代曲にはふれてこなかったので、曲の序盤などは「なんだか映画のBGMにありそうだな」と感じるような劇的な展開もあって新鮮でした。ただ、今まで聴き慣れていない起伏のある曲調が続いたからか、聴き終えるころには心地よい疲労感というか、少し耳がエネルギーを使った感覚もありましたね。 なにかこう、体というより頭を使う的な(苦笑)

そんな中、完全に心を奪われたのがゲストのヴィオラ奏者、ローレンス・パワー氏の独奏。

ヴァイオリンやチェロに比べると、ふだんのオーケストラではどうしても高中音域の「脇役」に徹している印象が強かったヴィオラ。ですが、彼が奏でるソロの音色はまったく別物でした。

派手に音量で圧倒するというよりも、情緒にあふれた深みのある響きがスッとホールの隅々まで染み渡っていくようで、その格別の美しさに思わず息をのんでしまいましたよ、と。

終演後のカーテンコール。客席からの温かい拍手がホールを包みます

佐渡裕氏がもうひとつの挑戦を紹介――映画『キセキの第九』

そしてもうひとつ、この日とても印象に残ったのが開演前のプレトークでした。

演奏前のの佐渡裕さんが、実体験もまじえ紹介していたのが、12月に劇場公開予定のドキュメンタリー映画『キセキの第九』のお話。

なんでも、九州の田舎にある中高一貫校でオーケストラ部が立ち上がり、楽器も楽譜もろくに揃っていないゼロの状態から、コロナ禍という大きな壁を乗り越え、6年がかりでベートーヴェンの『第九』演奏を実現させた実話なのだそう。当時の貴重な記録映像を紡いで映画化された作品だといいます。

佐渡さん自身も現地で深く関わり、本業の指揮指導とまではいかなくてもずっと陰ながら見守り、気にかけてこられたそうで、「ぜひ観てほしい!」とオススメされていました。

Screenshot of daiku-movie.com

映画『キセキの第九』公式サイト

『第九は実はけっこう難しい。これをやるのかと思った』
『講演に呼ばれた時に、すこし指導をしたけど若い人の吸収力と伸びしろにはすごく可能性を感じたし、目の輝きに感じ入った』

そんな風に壇上で語る佐渡さんの熱い言葉&おもしろいトークを聞いているだけでも、なんだか雰囲気がじわじわと。これは機会があれば、ぜひ観てみたいですね。

指揮台で喝采に応える佐渡裕さん。トークでの熱量も印象的でした

気軽に生の音を浴びに。PACの魅力

冒頭でもふれたように、「クラシックのコンサート」と聞くとしきいを高く感じてしまう人にこそ、このPACオーケストラの定期演奏会は一度体験してみてほしいかなと。

若手音楽家の育成というコンセプトがあることもあって、オーケストラの生演奏としてはチケット代がとても良心的。定期会員にならなくても、「今月はこの曲をやってるから行ってみようかな」と、気になる曲目の月に単発でふらっとチケットを取って行ける気軽さもあります(近年人気で席が取れないこともありますが……)

西宮北口駅からも連絡デッキ直結でアクセス抜群だし、休日に映画を一本観に行くくらいの気楽な感覚で、ホールの極上の響きを体で味わいに行けるのは本当に贅沢な環境だなーと。


未知へ挑む若者たちに、年甲斐もなく背中を押されて

新メンバーを迎え、手探りの中で新しい航海へと漕ぎ出したばかりのフレッシュな新シーズンのPACオーケストラ。

そして、楽器の持ち方すら知らなかったところから、幾多の困難を越えて『第九』という大きな山へ立ち向かっていった「キセキの第九」の中高生たち。

この日ふれたふたつの物語に共通していたのは、「未知の場所へチャレンジし、自らの手で道を拓いていく若きエネルギー」。

ふだん淡々と日々の仕事や生活をこなしていると、こういう純粋で真っ直ぐな熱量にふれる機会って、なかなか巡り合えないもので、客席に座ってそのエネルギーを浴びているうちに、なんだか年甲斐もなくグッと胸に来るものがあって、明日からの活力をたっぷりチャージしてもらったような気がします。

生の音に癒やされ、若者たちの挑戦に元気をもらったよき休日となりました。

また、あの生徒たちが紡いだ『キセキの第九』を観る機会があればレビューあげもしてみようかな、と。

感謝。

(2026/09/12)

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