長崎市の盲導犬虐待→失踪を考える

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 視覚障害関連のツイートを見ていて目にとまり

にて、詳細を知ったこの件。

怒りではなく、もう悲しくて涙が出ました。

現場に居合わせていたわけではないので、一面からだけの見方はできないとは思うのですが、周囲の多くの方が共通した認識をしていたことから、おそらく述べられていることは事実にかぎりなく近いのだと思います。
(昔なら「局所的な事象」として片付けられていたことが、こうやって光が当たるようになったのはネットの普及の恩恵だと思います。こういうのをまさに「ソーシャル」というのもかもしれません)

 この件に関しては、各所でかわいそう、何とかすべきという声があがっていますが、再発を防ぐためにも何をすべきか考えることが重要だと考えます。

マッチング精査
   盲導犬は慢性的に不足しています。不勉強なのでどういった順番で視覚障害者とのマッチングが進められているのかはわかりませんが(いろいろありそうですが……)、もっと「必要性」と「適性」を精査する必要があるのは、今回の事件(動物ですがあえて事件と当記事中では記載します)ではっきりしたと思います。
「盲導犬を引っ張っていた」という声が本当ならば、白杖でじゅうぶん足りていたのではないかなとも思ってしまうのです。
視覚障害者の訓練
 視覚障害者も盲導犬サービスを受けるにあたり、それなりの訓練と定期的な適性検査を受けるべきかと考えます。障害者に訓練など厳しすぎる、という意見があがるかもしれませんが、多くの障害者のみなさんは日常生活をスムーズに行なうために訓練をおこなっています(歩行障害なら車椅子走行、視覚障害なら白杖歩行や点字学習といったように)。
一般的に犬を飼うにあたり、それ相応の飼い主マナーが求められるのが世の常ですが、まさにそういったレベルのものに相当するものだと思います。悲しいかな、この国の道徳教育は低下の道を辿る一方です。かつては「当たり前」だったことを、ルールに制定してやっていかないといけなくなってきたのは否めません。
アフターフォローの徹底
 盲導犬を引き渡してしまえばおしまい。あとはなんとでもなれ。
そんな職風になってはなかったか、今一度見直してみる必要があります。盲導犬・福祉にとどまらず、仕事社会全体が罹患しつつある症状ですね。
もちろん、指導の現場で、精力的・規範的に働いているトレーナーさんや事務方も大勢いる、というかそれが多勢だと思いますが、たとえば事後コストをカットしたいから、適当な視察でいいや、ということにはならないと思います。トレーナー見習いなど、現場に即した方で視察員は構成されるべきでしょう。

 福祉は、福祉を受ける人、提供する人(団体・個人)、主導する人(政府・自治体)、関係の薄い人(健常者)、の4者の理解や行動でその質が決まってくると考えています(H24現在)。
イヤな話になりますが、福祉事業は認可が下りれば、助成金も出て仕事口も民間よりも安泰、いわゆる利権事業に近いカラーがあるのも否めません。
安定したサービスを提供するために事業の継続保障があることは反対しませんが、そのサービスおよび事業の質を向上させていかなければ、多くの大企業が今困っているように、「それ自体」が衰退していくことになると思えてしょうがありません。

いろいろと便利になったはずの世の中なのに、あまりよくなった感がしないのはなぜなんでしょうか。

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